たまたま偶然手にとって、続けて読んだ二冊の本に、同じ女が現れた。
柳橋の大幸(おおこう)。あるいはお幸。
一冊目では三代目澤村田之助の正妻であった時代の話、二冊目では田之助と別れたのちに三遊亭円朝の女房になっての話。
「あっ、今びっくりした顔だね」とは語り手円八のせりふだが、ああ、びっくりしたよ。
知らなかったもの。
一方では大柄でかさだかく、一方では小柄で華奢と書いてある。
ほんとうはどうだったんだろうなあ。
田之助と円朝が同じ時代に生きていたのだということが生々しく、二冊とも、弟子の視点から語られている体なのも面白く、乱読しているとこういうことがあるのだなあ、と。
皆川博子
花闇


松井今朝子
円朝の女

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